金融経済分析を変える自然言語処理の力① 従来のテキスト分析が与えたインパクト

定性的なテキストを定量的に測る能力などに従来から大きな魅力

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サマリー

◆2022年11月末にChatGPTが登場し、大規模言語モデル(Large Language Model,以下LLM)が注目されるようになって約1年10カ月が経った。そのような中で、金融経済分野へのLLMの応用は急速に進みつつある。

◆ただし、テキストデータを用いて金融市場分析や景況分析、経済学の研究を行う動き自体は、LLMが登場する前から存在した。たとえば、市場や景気の雰囲気をセンチメントスコアとして定量化する手法などは、その代表的な事例といえる。また、有価証券報告書に含まれる見通しの文章が、次期の業績予想に有効とする研究などもあった。

◆本シリーズでは改めて、大規模言語モデルを含む自然言語処理とよばれる領域が、金融経済分野での分析に対して従来もたらしてきた知見を概観するとともに、LLMがどのようなインパクトをもたらしており、今後これらの動向がどのように推移しそうなのかについて、議論していきたい。

◆シリーズの前半部分にあたる本稿においては、まず、LLMより前の従来型の自然言語処理が金融経済分野に応用されてきた事例を、手法と共に具体的に紹介していく。さらに、それらを踏まえて、自然言語処理のメリットや可能性について概観することで、後半部分にあたる次回のレポートで扱うLLMの議論へとつなげていく。

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