サマリー
◆本シリーズでは、近年のマクロ経済分析・予測におけるデータサイエンス (ビッグデータ・オルタナティブデータのような新しいデータや、機械学習のような新しい分析手法)の活用状況を概観することにしたい。
◆新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、急激な経済環境の変化を迅速に把握に対応するためナウキャスティングモデルに耳目が集まっている。ただし、今回のコロナ禍で話題になっているのは、現在のナウキャスティングモデルが足元の急激な変化を十分に捉えきれなかったことだ。その原因として、公表までにタイムラグのあるマクロ経済データを使っていることや、モデルの構造上、急激な経済悪化(非線形的な動き)をモデルで追認できないことが挙げられている。
◆こうした課題に対して、ナウキャスティングモデルに電力消費データなどのリアルタイムで取得できる高頻度データを用いて、高精度かつリアルタイムでマクロ経済動向を捉える研究が出てきている。さらに、これまでビッグデータを用いたマクロ経済予測のパフォーマンスが期待されたほど良くなかったこと、モデルの構造がブラックボックスなために予測の運用上で欠点があったことなどの課題も、次第にその解決策が提示されつつある。
◆もちろん、データサイエンスをマクロ経済分析に適用するには超えるべき課題も多い。しかしながら、海外の様々な研究が示すように、ビッグデータや機械学習などのAI的手法がマクロ経済分析においても大きな期待を寄せられている点は変わりない。今後、マクロ経済分析でも地に足の着いた形でデータサイエンスの活用が本格化するものと期待される。
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