サマリー
ビジネスや日常生活の様々な場面でAI(人工知能)が利用されるようになり、ここ10 年で経済分析にも応用する試みが増えてきた。そこでこれまでの応用事例を振り返り、AIの経済分析への活用方法を再検討する。サイズが数千程度のデータを使い、変数間の因果関係やメカニズムを特定したい場合は、従来の計量経済学的な手法で十分だ。しかし、テキスト・位置情報・画像などの新しいデータサイズの大きいデータを利用できるという柔軟性の面では、機械学習などのAI的な手法が適しており、これらの目的に沿った形で、これまで有益な経済分析への応用事例が見られる。さらに、機械学習や計量経済学がそれぞれ抱える課題を克服する研究も行われており、両者は互いの手法を参考にしながら、次第に接近していくものと思われる。
経済分析を行う上での注意点は、公的統計とは異なり、分析に使えるようにするためのデータの前処理に非常に時間が掛かることや、データが高額となりがちなことなどだ。AIや新しいデータを経済分析に活かすには、人材育成だけでなく、組織自体もData-Oriented な形へと変わる必要がある。組織が一体となって取り組むことが、AIの先進性を享受するカギとなろう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日