サマリー
◆日本経済は2024年4-6月期に停滞局面から脱しつつある。実質賃金の季節調整値は賃上げの広がりを反映して5月に大幅に上昇し、7-9月期に前年比でプラス転換する蓋然性が一段と高まった。自動車の国内販売台数は4-6月期に増加に転じ、同時期の実質GDP成長率を前期比年率で1%pt程度押し上げると試算される。減少が続いてきた建設投資は足元で持ち直しの動きが見られる。
◆4-6月期の実質GDP成長率は暫定的に前期比年率+2%程度のプラス成長を見込んでいる(7月末に改めてレポートで示す予定)。自動車の挽回生産による個人消費や設備投資の押し上げが主因で、建設投資の持ち直しや公共投資の増加もプラス成長に寄与したとみられる。個人消費も増加を見込むが、サービス消費については料金の高騰などにより伸び悩んだようだ。輸出が増加した一方、内需の持ち直しにより輸入も同程度増加したため、実質GDP成長率に対する純輸出の寄与度はゼロ近傍となったとみられる。
◆2024年度の最低賃金(最賃)について検討すると、賃金相場の加速は積極的な最賃引き上げの根拠となり得るものの、物価上昇率は前年度から減速している。業況の改善ペースは鈍化し、価格転嫁の動きにも停滞感が見られる。経済実態を踏まえると、前年度を超える最賃引き上げの必要性は低い。他方、政府は2030年代半ばまでに全国加重平均で1,500円になることを目指し、地域間格差の是正を図る方針である。政府方針を意識して高めに改定される可能性があり、この場合、同1,004円の最賃は2024年度に同1,050円を超えるだろう。
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