2024年度の最低賃金は1050円超の可能性も

経済実態として大幅引き上げは不要も新目標を意識して高めの改定か

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2024年07月16日

  • 経済調査部 エコノミスト 田村 統久
  • 調査本部 菊池 慈陽

サマリー

◆2024年度の最低賃金改定に向けた議論が本格化した。今回は「2030年代半ばまでに全国加重平均が1500円となることを目指」すという新たな目標が設定されてから初の改定であり、この目標などが最低賃金の改定にどのように影響するのかが注目される。

◆経済実態に鑑みると、2024年度の引き上げ率は2023年度(4.5%)を超える必要性は小さいとみられる。賃金相場は上昇する一方でインフレ率が低下し、企業の業況・価格転嫁の改善が足踏みしているからだ。ただし、地域間格差の是正を図りつつ目標水準により早期に近づけるため2023年度を上回る引き上げが行われる場合、最低賃金額は全国加重平均で1,050円を超える可能性がある。

◆今後注意すべきは、最低賃金の近傍水準で働く人(低賃金労働者)の雇用への影響である。日本では雇用に悪影響があると結論づけた先行研究は多い。新たな目標をより早期に、かつ円滑に達成するには、労働生産性の引き上げだけでなくEBPM(証拠に基づく政策立案)の強化も必要だ。

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