サマリー
◆2021年10-12月期のGDP1次速報の公表を受け、経済見通しを改訂した。実質GDP見通しは、21年度+2.5%、22年度+3.7%、23年度+1.6%を見込む。当社のメインシナリオでは、まん延防止等重点措置が3月上旬に全面解除され、その後はワクチンの効果や経口治療薬の普及もあり、安定した感染状況が続くと想定している。
◆22年度はサービス消費を中心に回復し、Go Toトラベル事業の実施やインバウンドの受け入れ再開もあって4%近い成長率が見込まれる。半導体不足の緩和により0.8兆円程度と試算される国内の自動車の繰越需要の発現が期待されるほか、輸出の増加も景気の追い風となろう。最大の景気下振れリスクは引き続き変異株の動向だ。新興国等で新たな変異株が出現し、日本などで流行する可能性は今後も十分に考えられる。
◆3月以降の原油価格がメインシナリオに比べて10ドル/バレル上昇するケースを想定すると、22年度の実質GDPはメインシナリオから0.1%程度下振れする。産出額に占めるエネルギーの中間投入の割合は、石油・石炭製品や電気・ガスのほか、感染拡大で需要が低迷している運輸・郵便業や宿泊・飲食サービス業などで比較的大きい。経済活動の正常化が春から進み始めるとみられるものの、資源高によってこうした業種の業況が悪化する可能性には警戒が必要だ。他方、資源高により家計の購買力は低下するものの、約60兆円(22年3月末見込み)の過剰貯蓄が影響を緩和するとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
第225回日本経済予測
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年05月22日
-
主要国経済Outlook 2025年5月号(No.462)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日