サマリー
◆足元で資源高が一段と進んでいる。資源高による海外への所得流出額は2021年度で27兆円程度と見込まれる。日銀短観に見る財の需給バランスはかなり逼迫しているため、小売価格への転嫁は2000年代の資源高の局面に比べて進みやすいとみられる。家計にとっては相当な負担増になるが、2021年9月までで40兆円を超えた過剰貯蓄により、個人消費への影響は抑えられるだろう。
◆日本でインフレ基調が強まらない主因はサービス物価の伸び悩みにある。国内で経済活動の正常化が進めば、1990年代末からおおむね横ばいで推移してきたサービス物価は上昇に転じる可能性がある。こうした上昇を持続させるには賃金上昇を伴う必要があり、賃金の原資である労働生産性の引き上げが求められる。経済活動の正常化が進み始めた今こそ、中堅・中小企業を中心としたサービス業の生産性低迷という長年の課題に官民を挙げて積極的に取り組むべきである。
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