サマリー
◆2012年1月の日本経済中期予測を改訂した。この半年で、欧州ソブリン問題や新興国経済の減速により世界経済は不透明感が増している。今回の予測では、世界経済を保守的に見直す一方、財政再建の必要性の高まりから社会保障給付の伸びを抑制した。この結果、今後10年間の日本の経済成長率は平均で実質1.4%、名目1.9%と予想する。
◆製造業の海外進出が国内の経済活動を縮小させるどうかは「代替効果」と「規模効果」の大きさによって決まり、必ずしも「海外進出=空洞化」とは言えない。定量的に測定すると、化学、鉄・非鉄・金属、電気機械では、海外進出が加速するほど日本からの輸出が増加するという関係が見られた。
◆年齢や世代の影響に注目すると、超高齢社会の消費は「在宅・余暇」「メンテナンス」「安心・安全」がキーワードになる。成長戦略上、今後は多様な人材や労働者の再教育が必要なため、家事労働など家計の制約を解放する財・サービスの提供が求められる。
◆長期的にみると、失業率は名目賃金の下方硬直や非正規雇用者比率の上昇などによって趨勢的に上昇している。雇用形態別に消費構造を調べると、近年の非正規雇用者比率の上昇は必需的な品目への需要を増加させ、不要不急の品目への需要を減少させている。
◆製造業の海外進出が国内の経済活動を縮小させるどうかは「代替効果」と「規模効果」の大きさによって決まり、必ずしも「海外進出=空洞化」とは言えない。定量的に測定すると、化学、鉄・非鉄・金属、電気機械では、海外進出が加速するほど日本からの輸出が増加するという関係が見られた。
◆年齢や世代の影響に注目すると、超高齢社会の消費は「在宅・余暇」「メンテナンス」「安心・安全」がキーワードになる。成長戦略上、今後は多様な人材や労働者の再教育が必要なため、家事労働など家計の制約を解放する財・サービスの提供が求められる。
◆長期的にみると、失業率は名目賃金の下方硬直や非正規雇用者比率の上昇などによって趨勢的に上昇している。雇用形態別に消費構造を調べると、近年の非正規雇用者比率の上昇は必需的な品目への需要を増加させ、不要不急の品目への需要を減少させている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2025年5月号(No.462)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年04月24日
-
「相互関税」騒動と日本の選択
2025年04月24日
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日