サマリー
◆2025年6月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+13%pt(前回差+1%pt)、大企業非製造業では+34%pt(同▲1%pt)となった。製造業では米トランプ政権による関税政策(トランプ関税)等が、非製造業では個人消費の弱さ等がそれぞれ下押し要因となったものの、製造業は改善、非製造業でも小幅の悪化にとどまっており、総じて見れば底堅い結果だった。
◆大企業製造業では、「素材業種」の業況判断DI(最近)が前回差+4%ptだった一方、トランプ関税の悪影響もあり、「加工業種」の業況判断DI(最近)は同▲2%ptだった。大企業非製造業では、物価高による家計の購買力の低下やインバウンド需要の増勢鈍化といった要因が「小売」(同▲3%pt)や「宿泊・飲食サービス」(同▲1%pt)の業況判断DI(最近)を下押ししたとみられる。
◆2025年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+6.7%となった。大企業非製造業を中心に過去と比較すると上方修正幅が大きくなるなど、総じて見れば堅調な結果が示された。更新投資や能力増強投資、人手不足に対応するための省力化投資などが発現するとみている。デジタル化やグリーン化に関連したソフトウェア投資や研究開発投資も増加する見込みだ。
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