サマリー
◆本稿では、国債買入額の減額ペースに関してシナリオ(月額5兆円、同4兆円、同3兆円)ごとに長期金利への上昇圧力を試算した。
◆いずれのシナリオにおいても、当面の間は、国債買入額の減額が長期金利に与える影響は限定的と見込まれる。だが、国債買入縮小による長期金利への上昇圧力は時間とともに強まっていくことには注意が必要だ。最終的な日本銀行の保有国債割合を10~30%と仮定すると、「国債買入縮小要因」と「短期金利引き上げ要因」だけで、長期金利は最終的には2%台半ばから3%程度まで押し上げられる可能性がある。
◆リスクシナリオとしては、財政リスクプレミアムの拡大が挙げられる。この抑制には、財政に対する信認を失わないことが必要だ。「金利のある世界」で政府が財政健全化を着実に進めることができるか否かが、金融システムの安定性に大きく関わる。
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