サマリー
◆本稿では、国債買入額の減額ペースに関してシナリオ(月額5兆円、同4兆円、同3兆円)ごとに長期金利への上昇圧力を試算した。
◆いずれのシナリオにおいても、当面の間は、国債買入額の減額が長期金利に与える影響は限定的と見込まれる。だが、国債買入縮小による長期金利への上昇圧力は時間とともに強まっていくことには注意が必要だ。最終的な日本銀行の保有国債割合を10~30%と仮定すると、「国債買入縮小要因」と「短期金利引き上げ要因」だけで、長期金利は最終的には2%台半ばから3%程度まで押し上げられる可能性がある。
◆リスクシナリオとしては、財政リスクプレミアムの拡大が挙げられる。この抑制には、財政に対する信認を失わないことが必要だ。「金利のある世界」で政府が財政健全化を着実に進めることができるか否かが、金融システムの安定性に大きく関わる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
円安進行で高まるインフレリスクと金融政策への示唆
160円/ドル超ならインフレが加速。国債買入柔軟化・減額が最有力
2024年06月03日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2024年12月日銀短観予想
中国の景気減速で製造業の業況判断DI(最近)が下振れか
2024年12月11日
-
政策保有株式の保有と縮減の状況
銘柄数は縮減傾向も保有額は増加の傾向
2024年12月11日
-
2024年度の自社株買いが大幅増となった背景と株価への影響
損保の政策保有株式売却が一因。自社株買いが株価の下支え効果も
2024年12月10日
-
第223回日本経済予測(改訂版)
日米新政権誕生で不確実性高まる日本経済の行方①地方創生の効果と課題、②「地域」視点の少子化対策、を検証
2024年12月09日
-
インフレによって債務残高対GDP比を低下させ続けることは可能か?
2024年12月11日
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日