物価高騰で変容する家計の消費行動

家計は節約一辺倒ではなく、節約志向は一部の必需的な品目に留まる

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2023年01月26日

サマリー

◆2022年は幅広い品目で値上げが行われた1年だった。食料やエネルギーなどの必需品を中心に価格転嫁が急速に進んだことで、日本銀行のアンケート調査によると、家計が体感する物価上昇率は12月にCPI上昇率を大幅に上回る12%超(平均値)へと上昇した。

◆2022年の実質消費支出は物価高の中でも前年から小幅に増加した。ただし、外食を除く食料や光熱・水道といった一部の必需的な費目では消費支出が減少した。品目別に見ると、使用頻度が高い品目や小売物価が大幅に上昇した品目では家計は購入数量を減らし低価格志向を強めた。一方、家計が購入数量を増やした品目や高価格志向を強めた品目も確認された。

◆物価高の主因であった資源高や円安が一服したこともあり、輸入インフレに起因する値上げの波は2023年春で落ち着くとみている。今後の消費行動を考える上で、当面は2023年春闘での賃上げ率が注目される。

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