サマリー
◆岸田文雄政権は総合経済対策に電気料金の引き下げを盛り込む方針である。10月14日に公表した筆者のレポートでは、政府による電気料金引き下げによる支援額をメインシナリオで4.2兆円程度と試算したが、本稿ではその後の岸田首相の発言等を踏まえ、再試算を行った。規制料金の値上げなどにより2023年4月以降の電気料金が引き上げられ、この上昇分を政府が補助する場合、2023年の1年間の支援総額は2.7兆円(家計:0.8兆円、企業:1.9兆円)程度と試算される。
◆家計に対する負担軽減額を可処分所得対比で見ると、低所得の勤労者世帯や、年金受給者が多く含まれる無職世帯で高い。必需品を中心に値上げが広がる中、電気料金の引き下げはとりわけ低所得世帯の消費者マインドの悪化を幾分和らげるだろう。企業の負担軽減額を売上高対比で見ると、「鉄鋼業」「その他の輸送用機械」のほか、対人接触型のサービス業も比較的高い。これらの業種では電気料金の引き下げによる効果が大きく表れそうだ。
◆政府は電気代のほか、都市ガス代の支援策と燃料油価格激変緩和補助金(いわゆるガソリン補助金)の延長も総合経済対策に盛り込む方針だ。度重なる物価高対策は財政を圧迫している。費用対効果の観点をより重視しつつ、対策の縮小や終了の条件を明確化するなど出口戦略の検討を進めることが重要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(3/18~4/14発表統計)
2026年04月14日
-
インバウンドに忍び寄る外部ショック
中国人旅行客減少下でも堅調だが、中東情勢緊迫化の影響に要注意
2026年04月09日
-
日本は国際的な人材獲得競争で勝てるのか
外国人労働者の増加継続を見込むも経済下振れと円安がリスク要因
2026年04月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

