サマリー
◆岸田文雄政権は総合経済対策に電気料金の引き下げを盛り込む方針である。本稿執筆時点で詳細は明らかになっていないが、2022年6月に前年同月比+20~30%程度であった電気料金平均単価を2023年の1年間に2021年6月比+10%の水準まで引き下げる場合、支援総額は4.2兆円程度(家計:1.0兆円程度、企業:3.2兆円程度)と試算される。規制料金の引き上げなどで電気料金平均単価がこのメインシナリオよりも2割上昇した場合、支援総額は8.8兆円程度と大きく拡大する。
◆家計に対する負担軽減額を可処分所得対比で見ると、低所得の勤労者世帯や、年金受給者が多く含まれる無職世帯で高い。必需品を中心に値上げが広がる中、電気料金の引き下げはとりわけ低所得世帯の消費者マインドの悪化を幾分和らげるだろう。企業の負担軽減額を売上高対比で見ると、「鉄鋼業」「その他の輸送用機械」のほか、対人接触型のサービス業も比較的高い。これらの業種では電気料金の引き下げによる効果が大きく表れそうだ。
◆電力各社は燃料費高騰分を十分に価格転嫁できずに収益が圧迫されている。実際の電気料金を引き下げるためには、4.2兆円程度というメインシナリオの試算を大幅に上回る補助金が必要となる可能性があり、財政への影響が懸念される。補助金による電気料金の引き下げが十分に実施されていることを確認する仕組みも必要となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月雇用統計
失業率は2.3%と5年7カ月ぶりの低水準に
2025年08月29日
-
2025年7月鉱工業生産
自動車工業などが減産、先行きは関税政策の悪影響に注意
2025年08月29日
-
日本が取り組むべきは「現役期」の格差是正
給付付き税額控除と所得税改革などで貧困層を支えよ
2025年08月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日