サマリー
◆2021年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比+4.6%、経常利益は同+35.1%と増収増益となった。他方、季節調整値で見ると、売上高は前期比▲0.4%、経常利益は同▲7.4%と減収減益となった。緊急事態宣言等の影響からサービス業中心に需要の回復が鈍かったほか、自動車の減産による影響も大きかったとみられる。また、設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比+2.2%と増加したが、季節調整値では前期比▲1.1%と3四半期ぶりに減少した。製造業、非製造業ともに設備投資は一服している。
◆2021年10-12月期の企業収益は改善するとみている。自動車の供給制約は徐々に解消に向かうとみられ、関連業種を含めて業況は改善しよう。また、緊急事態宣言等の全面解除を受けて宿泊業、飲食サービス業、娯楽業、旅客輸送業などの業況は大きく改善するとみられる。ただし、資源高や新型コロナウイルスの変異株の影響は経常利益の重しとなることから引き続き警戒が必要だ。10-12月期以降の設備投資は回復基調に転じるとみている。自動車の供給制約の緩和や堅調な海外経済、緊急事態宣言の全面解除等を背景に、製造業、非製造業ともに設備投資意欲が改善しよう。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2021年7-9月期GDP2次速報(12月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲3.1%と、1次速報(同▲3.0%)から僅かに下方修正されると予想する。
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