サマリー
2021年4-6月期は3四半期ぶりに日本、米国、欧州、中国がそろって前期比でプラス成長となった。ただし、景気回復ペースには差がついており、中国に続いて米国もこの4-6月期にコロナショック前(2019年10-12月期)のGDP水準を上回った一方、日本と欧州はまだ下回ったままである。しかも、世界経済の回復が順調に進むのかについて複数の懸念材料が浮上している。まず、感染力の強い新型コロナウイルスのデルタ株が世界的に流行し、新規感染者が再び増加傾向にある。ここに半導体不足に伴う供給制約、コモディティ価格の上昇など、世界経済が回復してきているが故の成長抑制要因が重なる。感染者の抑制、とりわけ重症者や死亡者を抑制するにはワクチン接種を早急に進めることが必要で、各国とも力を入れているが、その進捗が米欧中に比べて遅れている日本にとって特に重要課題である。一方、インフレや資産価格の過度な上昇を抑えつつ、持続的な経済成長を達成するための処方箋は、今後、国ごとに一段と差異が出てくると見込まれる。どれだけ柔軟かつ実効的な対策を講じることができるか各国の金融・財政政策の巧拙がより目立ってくると予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2021年8月
経済見通しを改訂/ワクチン接種・変異株による感染シミュレーション
2021年08月20日
-
米国経済見通し スタグフレーションの影
重用性が増す雇用環境の回復
2021年08月20日
-
欧州経済見通し ばらつきを内包した回復
感染爆発を回避して、デルタ株と折り合いをつけていく
2021年08月20日
-
中国:独り勝ちの中国経済が変調?
明るい材料は政策余地の大きさとワクチン接種による集団免疫獲得
2021年08月20日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日