サマリー
◆2021年7月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+37.0%と大幅に増加した。自動車や同部分品、鉄鋼などが全体を押し上げた。ただしこれは前年の不振の裏の影響によるもので、季節調整値で見ると輸出金額は前月から横ばいであった。また輸入金額も前年比+28.5%と、前年の原油安の裏の影響で原油及び粗油などが押し上げたが、季節調整値では前月比▲1.6%と8カ月ぶりに減少した。輸入の減少を受け、貿易収支は季節調整値で+527億円と2カ月ぶりに黒字に転じた。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲1.9%と2カ月ぶりに減少した。地域別に見ると、米国向け(同▲2.0%)やアジア向け(同▲1.5%)が減少した一方、経済活動の再開が進むEU向け(同+12.3%)は大きく増加した。
◆先行きの輸出は緩やかな増加基調を辿るとみている。景気回復が続く欧米向けの輸出が全体をけん引するだろう。他方、中国向けは同国の景気減速の兆しが見られることから、増加ペースが鈍るとみている。なお各国では消費の中心が財からサービスに移りつつあるほか、感染力の強い新型コロナウイルス変異株(デルタ株)が流行し経済活動が抑制されるなどのリスク要因がある点には注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年6月貿易統計
米国向けが好調も4-6月期の純輸出は前期から減少
2021年07月21日
-
2021年5月貿易統計
輸出数量は中国向けが減少も、欧米向けが好調
2021年06月16日
-
2021年4月貿易統計
中国向けがけん引し、輸出金額は米中貿易摩擦前の水準へ
2021年05月20日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日