日米首脳会議と気候サミットの成果

設備投資費用の効率化が期待されるも、日本の競争力維持が課題に

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2021年04月30日

  • 和田 恵

サマリー

◆2021年4月に日米首脳会談と気候サミットが開催され、各国が相次いで気候変動に関連する新たな目標・政策を打ち出した。本レポートではこれら二つのイベントのポイントをマクロ経済の観点から整理する。

◆日米首脳会談において締結された日米気候パートナーシップでは、クリーンエネルギーを中心とした技術開発・普及などの二国間協力の強化を目指すことが盛り込まれた。このパートナーシップによって両国の民間企業の協力関係の構築、ビジネスチャンスの拡大を促すことが期待される。気候サミットでは、温室効果ガスの削減目標について日本が2013年比▲46%、米国が2005年比▲50-▲52%を掲げるなど、脱炭素化に向けた野心的な目標や新しい政策を主要国が打ち出した。

◆日米気候パートナーシップを通じて、両国に強みのある脱炭素化技術の開発・普及での協力が強化されることで、温室効果ガスを削減するための設備投資費用の効率化が期待される。また、気候変動対策の加速は雇用維持・創出の観点からも歓迎できる。ただし、2030年目標を引き上げた裏付けは公表されておらず、達成のための手段も未公表だ。企業にコスト増などのしわ寄せがいった場合、日本の競争力を維持できなくなる恐れがある。

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