三度目の緊急事態宣言発出による日本経済への影響

4都府県への宣言発出により実質GDPは1カ月あたり0.6兆円減少

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2021年04月22日

サマリー

◆政府は東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に対する緊急事態宣言の発出を4月23日にも決定する方針だ。幅広い業種に休業を要請した2020年春の宣言に近い内容になることを想定すると、実質GDPへの影響は1カ月あたり▲0.6兆円程度と試算される。全都道府県に拡大すれば同▲1.6兆円となる。今回の実質GDPの影響が2020年春の宣言時よりもかなり小さいのは、対象区域が絞られたことに加え、二度目の宣言時と同様に財消費への影響が限定的とみられるからだ。宣言発出時点のサービス消費が既に低水準にあることも一因である。

◆実質GDPは2021年4-6月期にV字回復するどころか、前期比で2四半期連続のマイナスとなる可能性がある。今後、宣言の要請内容やその影響を精査した上で、経済見通しを下方修正する予定である。今回の宣言が4-6月期中に全面解除されたとしても、四度目、五度目の宣言が発出される可能性は否定できない。政府は宣言の実施期間を「ワクチン接種強化期間」と位置づけ、海外の成功事例を参考に運用を柔軟に見直しつつ、財政面からも手厚く支援すべきだ。

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