サマリー
◆政府は東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に対する緊急事態宣言の発出を4月23日にも決定する方針だ。幅広い業種に休業を要請した2020年春の宣言に近い内容になることを想定すると、実質GDPへの影響は1カ月あたり▲0.6兆円程度と試算される。全都道府県に拡大すれば同▲1.6兆円となる。今回の実質GDPの影響が2020年春の宣言時よりもかなり小さいのは、対象区域が絞られたことに加え、二度目の宣言時と同様に財消費への影響が限定的とみられるからだ。宣言発出時点のサービス消費が既に低水準にあることも一因である。
◆実質GDPは2021年4-6月期にV字回復するどころか、前期比で2四半期連続のマイナスとなる可能性がある。今後、宣言の要請内容やその影響を精査した上で、経済見通しを下方修正する予定である。今回の宣言が4-6月期中に全面解除されたとしても、四度目、五度目の宣言が発出される可能性は否定できない。政府は宣言の実施期間を「ワクチン接種強化期間」と位置づけ、海外の成功事例を参考に運用を柔軟に見直しつつ、財政面からも手厚く支援すべきだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
-
2025年3月鉱工業生産
自動車工業や電気・情報通信機械工業など10業種が前月から低下
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日