サマリー
◆2021年1月の生産指数は前月比+4.2%と3ヶ月ぶりに上昇し、伸び率は市場コンセンサス(同+3.8%)を上回った。中国の春節休暇が2月中旬であったため、直前の1月に同国向け駆け込み輸出が発生した可能性があるほか、国内の設備投資の回復を受けて資本財関連業種が増産したとみられる。業種別に見ると、汎用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業、電気・情報通信機械工業などが上昇に寄与した。電子部品・デバイス工業は2020年央より上昇基調にあり、1月は現行基準において最高水準となった。
◆先行きの生産は、一旦足踏み状態となろう。製造工業生産予測調査によると、2021年2月は前月比+2.1%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同▲0.4%)と見込まれている。業種別では生産用機械工業、化学工業、電子部品・デバイス工業などで上昇が見込まれている一方、汎用・業務用機械工業や輸送機械工業は低下が見込まれている。なお、2月13日の福島県沖地震による減産の影響は織り込まれておらず、実績は予測値を大きく下回る可能性があることには注意が必要だ。他方、3月の見通しは同▲6.1%で、全ての業種が減産見込みとなっている。3月には1~2月の増産の反動減が表れるとみられるが、その後4月頃からは緩やかな回復基調に転じるだろう。
◆3月8日公表予定の1月分の景気動向指数は先行CIが前月差+2.2ptの97.5、一致CIは同+3.0ptの91.3と予想する。この予測値に基づくと、一致CIによる基調判断は「上方への局面変化」に上方修正される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
-
日本財政の論点 – PB赤字と政府債務対GDP比低下両立の持続性
インフレ状態への移行に伴う一時的な両立であり、その持続性は低い
2025年10月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日