2021年1月鉱工業生産

生産指数は春節要因や設備投資の回復を受け3ヶ月ぶりの上昇

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2021年02月26日

  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆2021年1月の生産指数は前月比+4.2%と3ヶ月ぶりに上昇し、伸び率は市場コンセンサス(同+3.8%)を上回った。中国の春節休暇が2月中旬であったため、直前の1月に同国向け駆け込み輸出が発生した可能性があるほか、国内の設備投資の回復を受けて資本財関連業種が増産したとみられる。業種別に見ると、汎用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業、電気・情報通信機械工業などが上昇に寄与した。電子部品・デバイス工業は2020年央より上昇基調にあり、1月は現行基準において最高水準となった。

◆先行きの生産は、一旦足踏み状態となろう。製造工業生産予測調査によると、2021年2月は前月比+2.1%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同▲0.4%)と見込まれている。業種別では生産用機械工業、化学工業、電子部品・デバイス工業などで上昇が見込まれている一方、汎用・業務用機械工業や輸送機械工業は低下が見込まれている。なお、2月13日の福島県沖地震による減産の影響は織り込まれておらず、実績は予測値を大きく下回る可能性があることには注意が必要だ。他方、3月の見通しは同▲6.1%で、全ての業種が減産見込みとなっている。3月には1~2月の増産の反動減が表れるとみられるが、その後4月頃からは緩やかな回復基調に転じるだろう。

◆3月8日公表予定の1月分の景気動向指数は先行CIが前月差+2.2ptの97.5、一致CIは同+3.0ptの91.3と予想する。この予測値に基づくと、一致CIによる基調判断は「上方への局面変化」に上方修正される。

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