サマリー
年をまたぎ世界における新型コロナウイルス感染は深刻化している。感染力が強い変異種が相次いで報告される中、欧州諸国はロックダウン措置の強化や期間延長を余儀なくされ、日本は11都府県に対して緊急事態宣言を再発出した。世界経済は2020年10-12月期に続いて2021年1-3月期も大きく減速し、日欧はマイナス成長となる可能性が高い。多くの国がロックダウンに踏み切り、日本も全国を対象に緊急事態宣言を発出していた2020年4-6月期に比べ、景気の落ち込みは限定されるとみる理由がいくつかある。感染抑制に成功した中国がV字回復を遂げていること、米欧で昨年12月からワクチン接種が開始され、日本でも2月下旬の接種開始に向けた動きが具体化してきたこと、米国で民主党のバイデン大統領が就任し、大型の景気刺激策実現への期待が高まっていることなどである。ただし、ワクチン接種には時間を要し、特に新興国まで含めた世界的なワクチンの普及には年単位の時間が必要になると予想される。また、バイデン大統領の民主党は上下両院とも制したものの、議席数の差はわずかで、大型景気対策が実現できるか予断を許さない。「春遠からじ」とはなかなかいかないだろう。
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