サマリー
◆新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、緊急事態宣言が再発出されたことで景気が急速に悪化している。2020年11月にコロナショック前対比で▲20%程度の水準にあった外食・旅行・娯楽関連消費は、人出の大幅減を受けて同▲50%程度まで落ち込んだとみられる。11都府県への緊急事態宣言は、Go To キャンペーンの一時停止の影響を含め、実質GDPを1カ月当たり1.3兆円程度押し下げる見込みである。
◆Go Toトラベルキャンペーンの一時停止による実質GDPの減少額は1カ月当たり0.4兆円程度と試算される。地域経済への影響の度合いを都道府県別に見ると、山梨や沖縄で特に大きく、福井や富山、大分でも相対的に大きい。今後も感染拡大が続き、同キャンペーンを再開できない状況が長引けば、こうした地域の経済の落ち込みは一層厳しいものとなろう。
◆2021年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率▲2.8%とみている。2020年10-12月期の成長率見込みを上方修正したことに加え、宣言の対象区域外でも一定の消費抑制が行われると想定したことで、1月12日時点の経済見通しから下方修正した。仮に、緊急事態宣言が1カ月延長されて全都道府県が対象になり、消費が2020年春と同程度抑制されれば、2021年1-3月期の実質GDP成長率は同▲11.7%まで落ち込む。今後の感染状況によっては景気が「二番底」に陥るリスクがあるため、当面は感染拡大防止に力点を置いた政策運営が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
第225回日本経済予測
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年05月22日
-
主要国経済Outlook 2025年5月号(No.462)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日