サマリー
4-6月期のGDP統計が出そろいつつあるが、予想された通り、多くの国・地域の数値は文字通り壊滅的である。ただし、各種月次統計などは4-6月期がほとんどの国・地域の最悪期であったことを示唆しており、焦点は既に回復のペースやその持続性に移っている。もっとも注意しておきたいのは、その回復が必ずしも各国・地域における感染収束を受けたものであるとは限らないことである。例えば感染爆発が続いているブラジルやインドでさえ、生産や消費関連の統計は一定の改善を示し始めている。それは結局、これらを含めたほとんどの国・地域が、ロックダウン的措置がもたらす経済的、財政的、そして社会的コストの甚大さに耐えきれず、新型コロナウイルスの終息を断念しつつあることを意味する。従って、世界経済がダブルディップに陥るといった、金融市場などが懸念する事態は回避されることになろう。これまでの経緯は、経済活動の大まかな水準を決めるのは、ウイルスやその感染状況そのものではなく、それを受けた政府の政策であり、人々の行動であることを示してきたからだ。しかし世界がコロナとの共存を選択しつつある以上、「ウィズコロナ」の時期は長期化せざるを得ない。ソーシャルディスタンスの確保や、感染防止策と両立しにくいビジネスの苦境も長期化する。経済政策もそれを前提とし、何を救うべきか、端的には業界か雇用か、を明確にしていく必要があろう。
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