サマリー
4-6月期のGDP統計が出そろいつつあるが、予想された通り、多くの国・地域の数値は文字通り壊滅的である。ただし、各種月次統計などは4-6月期がほとんどの国・地域の最悪期であったことを示唆しており、焦点は既に回復のペースやその持続性に移っている。もっとも注意しておきたいのは、その回復が必ずしも各国・地域における感染収束を受けたものであるとは限らないことである。例えば感染爆発が続いているブラジルやインドでさえ、生産や消費関連の統計は一定の改善を示し始めている。それは結局、これらを含めたほとんどの国・地域が、ロックダウン的措置がもたらす経済的、財政的、そして社会的コストの甚大さに耐えきれず、新型コロナウイルスの終息を断念しつつあることを意味する。従って、世界経済がダブルディップに陥るといった、金融市場などが懸念する事態は回避されることになろう。これまでの経緯は、経済活動の大まかな水準を決めるのは、ウイルスやその感染状況そのものではなく、それを受けた政府の政策であり、人々の行動であることを示してきたからだ。しかし世界がコロナとの共存を選択しつつある以上、「ウィズコロナ」の時期は長期化せざるを得ない。ソーシャルディスタンスの確保や、感染防止策と両立しにくいビジネスの苦境も長期化する。経済政策もそれを前提とし、何を救うべきか、端的には業界か雇用か、を明確にしていく必要があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2020年8月
経済見通しを改訂/ウィズコロナの下で景気回復の足取りは重い
2020年08月21日
-
米国経済見通し 回復の雲間から見える不安
バイデン氏が大統領選挙を勝つ上でも、景気テコ入れ策がカギに
2020年08月21日
-
欧州経済見通し 消費の急回復は一服へ
経済活動再開と感染抑制の両立という難問
2020年08月21日
-
中国:投資主導の景気回復と節約の大号令
注目される「両新一重」(新型インフラ、新型都市化、重要インフラ)
2020年08月21日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日