サマリー
◆2020年5月の生産指数は前月比▲8.4%と4月に続き大幅に低下し、市場コンセンサス(同▲5.9%)を下回った。鉱工業生産に先立って公表された5月の輸出数量は同▲9.4%と大幅に減少しており、経済活動の自粛による内需の弱さに加え、欧米諸国におけるロックダウン措置等の影響が表れた。
◆業種別に見ると全ての業種で生産指数が低下した。工場の操業を一時停止していた自動車工業が前月比▲23.2%と大幅に低下した他、生産用機械工業や鉄鋼・非鉄金属工業なども振るわなかった。また、フラットパネル・ディスプレイ製造装置、アクティブ型液晶パネル(中・小型)など、3月、4月にコロナ特需によって全体を押し上げていた品目も5月は一服している。
◆6月以降の生産は緩やかに回復するとみている。製造工業生産予測調査によると、6月は前月比+5.7%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+0.2%)と増産を見込んでいる。また、7月は同+9.2%と6月から加速する見込みだ。国内外で経済活動の制限・自粛が緩和されているためだ。これまで全体を大きく押し下げていた自動車工業において、工場が再開する動きが見られることは底上げ要因となろう。とはいえ、新型感染症の発生前の水準まで回復するにはかなりの時間を要するとみている。特に工場稼働率が高まらない中では、資本財需要の回復は相当に遅れるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2020年6月
「リベンジ消費」の賞味期限 -警戒すべき二つの「財政の崖」-
2020年06月23日
-
2020年5月貿易統計
輸出金額はリーマン・ショック以来の水準まで落ち込む
2020年06月17日
-
2020年4月鉱工業生産
自動車工業を中心に大幅減産、5月は更なる減産の見込み
2020年05月29日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日