サマリー
◆5月の全国コアCPI(除く生鮮食品)上昇率は前年比▲0.2%と前月から変わらず、市場予想(同▲0.1%)を下回った。原油価格の急落を反映してガソリン・灯油などのエネルギー価格は前年比のマイナス幅が拡大したものの、エネルギー以外の品目が上昇したためコアCPIの上昇率は変化がなかった。
◆物価の基調を示す新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)上昇率は前年比+0.4%と前月から0.2%pt上昇した。ただし中身には弱さが見られる。「宿泊料」や「外国パック旅行」は前年比のマイナス幅が縮小し、「携帯電話機」は前年比でプラスに転換したものの、これは前年の裏の影響が表れたことによるもので、水準はいずれも前月から低下している。また、「高速自動車国道料金」は前年比のプラス幅が拡大したが、これは新型コロナウイルス感染拡大防止策として4月末から休日割引が中止されたためである。
◆先行きのコアCPIの前年比は振れを伴いながらもマイナス幅が拡大するとみている。新型コロナウイルス感染拡大に伴い日本経済は急速に悪化した。足元では景気は緩やかな回復基調に転じているが、コロナ・ショック前の水準には依然として距離がある。マクロの需給バランスの悪化が物価を下押ししよう。
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