2020年2月鉱工業生産

中国向け需要が全体を下支えし、プラス圏に踏みとどまる

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2020年03月31日

  • 鈴木 雄大郎
  • 小林 俊介

サマリー

◆2020年2月の生産指数は前月比+0.4%と3ヶ月連続で上昇し、市場コンセンサス(同+0.0%)を上回った。上昇はしたものの、一部業種において、中国向け輸出が大幅に増加したことが全体を押し上げており、消費財、資本財を中心に弱さが見られる。出荷指数も同+2.6%と3ヶ月連続で上昇した。

◆業種別では、15業種中7業種で上昇した。電子部品・デバイス工業(前月比+10.7%)、無機・有機化学工業(同+6.0%)などが上昇に寄与した。2月の貿易統計では集積回路などの中国向け輸出が大幅に増加しており、外需が全体を下支えした可能性が高い。

◆製造工業生産予測調査によると2020年3月は前月比▲5.3%、4月は同+7.5%となっている。予測指数に関しては、調査時点は3月10日であり、足元で欧米を中心に新型コロナウイルスの感染が急速に広まっている状況を十分に織り込めていない可能性が高い。世界各地でロックダウン状態にあることを踏まえると、最終需要の消失によって、3月以降の生産は大幅に下方修正される公算が大きい。

◆2020年4月7日に公表される2月景気動向指数の一致CIは前月差+0.5ptと予想する。この数値を前提とすると、基調判断は7ヶ月連続で「悪化」となる。

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