2019年7-9月期法人企業統計と二次QE予測

3年ぶりの減収減益/二次QEは上方修正を予想

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2019年12月02日

  • 鈴木 雄大郎
  • 小林 俊介

サマリー

◆2019年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年比▲2.6%と3年ぶりの減収、経常利益は同▲5.3%と2四半期連続の減益となった。また、季節調整値では、売上高は前期比▲1.5%と3四半期連続の減収、経常利益は同▲1.1%と2四半期連続での減益となった。

◆2019年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+7.7%と2四半期ぶりに増加に転じた。季節調整値で見ても、前期比+1.2%と2四半期ぶりに増加した。4-6月期は世界経済の減速懸念や米中貿易摩擦の先行き不透明感から設備投資を先送りする動きが見られたが、7-9月期は持ち直した。

◆先行きについて、企業業績は製造業を中心に厳しい状況が続くことになろう。特に、外需の影響に左右されやすい製造業では、米中の通商摩擦の行方は大きな不透明要因である。非製造業についても、消費増税の影響によって10-12月期の対消費者向けの業種は前期比で見ると減収減益となるだろう。

◆他方、先行きの設備投資は、緩やかながらも増加基調を維持するだろう。労働需給の引き締まりを背景として、人手不足に対応した省人化投資やIT投資は、企業の競争力・収益性を維持するためには欠かせない。ただし、足下では稼働率が低下基調へ転じていることを踏まえると、今後はさらなる能力増強投資よりは、維持・補修の投資により重きが置かれるとみられる。

◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2019年7-9月期GDP二次速報(12月9日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+1.2%と、一次速報(同+0.2%)から上方修正されると予想する。

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