サマリー
◆【4月の雇用】完全失業率(季節調整値)は、前月から横ばいの2.5%となった。就業者数は前月差▲1万人と微減したものの、1~3月の大幅増(+141万人)を踏まえると、水準は非常に高く、内容としては良好だ。また、改正労働契約法の影響で正規雇用者数が大幅に増加している。他方、有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.59倍、正社員の有効求人倍率(同)は前月から0.01pt上昇し1.09倍となった。
◆【2018年1月以降、就業者数+140万人増の背景】2018年1月以降、就業者数を押し上げているのは、65歳以上の高齢者と、15~24歳の若年層だ。15~24歳では、例年1~3月に起きる就業者数(原数値)の落ち込みがなく、横ばい圏で推移したため、季節調整値でみた時に就業者数が大きく増加したように見えた。他方、65歳以上では、医療・福祉、農業等を中心に、純粋に就業者数が大きく増加したことによる影響が大きい。
◆【3月の賃金】現金給与総額は前年比+2.0%と8ヶ月連続で増加し、2004年11月以来、13年4ヶ月ぶりの高い伸びとなった。特に一般労働者の所定内給与の増加と特別給与の増加が全体を押し上げた。特別給与に関しては、好調な企業業績を背景に、「製造業」や「卸売業,小売業」などで年度末の一時金が支払われたことが押し上げ要因となった。また、所定内給与に関しては、サンプル替えによる押し上げ効果が大きい。
◆【先行き】労働需給はタイトな状況が続き、失業率は上下しながらも2%台半ばで推移するとみている。2019年度以降導入見込みの残業規制等を背景に、企業の人手不足感は一層強まるとみている。特に人手不足が深刻な産業では、正社員化や賃金引上げといった処遇の改善や省人化投資が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本初公表「未活用労働指標」の見方
政府・日銀および市場関係者が注目すべき新たな「ものさし」へ
2018年05月15日
-
2018年4月 正社員増加の追い風が吹く
「無期転換ルール」で非正規から正規への切り替えが起こる
2017年06月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
国内旅行消費、押し上げの鍵は「分散化」
国・自治体・企業の連携で旅行の時期を分散し費用減と混雑の緩和を
2025年07月11日
-
経済指標の要点(6/18~7/11発表統計分)
2025年07月11日
-
有効求人倍率の低迷は実態を表しているのか?
業務統計であるが故のデータの振れや集計対象の偏りに注意
2025年07月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日