サマリー
4-6月期の実質成長率は日・米・欧(ユーロ圏)ともに好調であった。ユーロ圏の数値の詳細は未発表だが、いずれの地域もけん引役は内需であったと推察される。新興国にとっての朗報である。実際、オランダ経済政策分析局のデータによれば、2017年に入って、世界貿易数量の伸びが回復してきているのだが、その中身が1-3月と4-5月で異なってきている。1-3月は輸入サイドで新興国、特にアジアの伸びが顕著であり、その恩恵が先進国にも及んだ。4月以降に目立つのは先進国の輸入増加ペースの加速である(1-3月:前年比1.2%、4-5月:同3.6%)。内需を中心とした成長加速と整合的な動きであり、一方、新興国の輸入も高水準での増加が続いているから、現在の世界経済は、需要拡大のすそ野が広がり、それが他国・地域の輸出増加をもたらすという好循環が働いているとみなし得る。景気の成熟度が増しつつある米国経済、混乱が収まらないトランプ政治、不動産関連を中心に固定資本形成の鈍化が見込まれる中国など、懸念材料も散見されるものの、こうした材料に対する耐久力を付けつつあるのが現在の世界経済であると考えられよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:心配な住宅実需抑制と民間の景況悪化
7月の中国経済はやや減速
2017年08月22日
-
欧州経済見通し まもなく終わる夏休み
当面の注目は緩和政策の修正検討とBrexit交渉の行方
2017年08月22日
-
米国経済見通し 政治の混乱が一層深刻化
消費者への影響は軽微な可能性も、企業マインドの悪化に注意
2017年08月22日
-
日本経済見通し:2017年8月
経済成長の牽引役は外需から内需へ
2017年08月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

