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米国経済見通し 政治の混乱が一層深刻化

消費者への影響は軽微な可能性も、企業マインドの悪化に注意

2017年08月22日

ニューヨークリサーチセンター エコノミスト(NY駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆政治停滞によって、トランプ大統領が掲げてきた政策が実行に移されない場合、共和党支持者の経済見通しは冷え込むと見込まれる。しかし、オバマ政権時の政策が維持されることで、民主党支持者の見通しはむしろ改善する可能性があるため、政策の停滞が一概に消費者マインドを悪化させるとは限らない。


◆他方で、トランプ政権による減税などの経済政策に対する企業の期待感はまだ少なからず残っているとみられる。トランプ政権は年末までに減税法案の議会での成立を目指すとしているが、これが期待外れとなれば、企業マインドが下押しされるリスクがある。


◆金融政策面では、債務上限問題や、2018年度予算を巡る議論などによって、財政リスクが極端に高まらない限り、9月にもFRBのバランスシート縮小の開始が決定される公算が大きい。金融政策における注目点は、再度利上げペースに戻ることになるが、このところのインフレ率の鈍化を受けてFOMC参加者は追加利上げに対して以前よりも慎重さを増している。


◆9月のFOMCでは、物価見通し、および2018年以降の利上げペースがどのように修正されるかが最大の注目点となる。しかし、インフレを巡る構造的な議論にすぐに結論が出るとは考え難く、結局のところFOMC参加者は現実の物価や賃金動向を注視しつつ、金融政策を決定していくことになろう。市場が次回の利上げを見込む12月までには、まだ十分時間が残されている。


◆2017年4-6月期の実質GDP成長率は、米国経済のメインドライバーである個人消費が持ち直したことで前期比年率+2.6%と前期から加速、米国経済の堅調さを確認させる結果となった。トランプ政権による経済政策は実現に向けた道筋が見えず、政策による景気の押し上げは当面期待できないが、政策に頼らずとも米国経済は底堅い成長を続けている。政策が実現しないことによる企業マインドの下振れには一定の留意が必要だが、米国経済は先行きも個人消費主導の緩やかな成長を続けていくことになろう。

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