サマリー
米国のトランプ政権はフリン補佐官の辞任やメディアへの派手な攻撃など、ゴタゴタを繰り返しながらも、減税を示唆する発言などを通じ、同国の景気拡大に対する市場の期待を維持することには成功している。それは株高を継続させ、堅調な住宅価格と相まって、資産効果から米国の内需を、実際の景気刺激策の発動に先駆けて、刺激し始める可能性がある。一方、日欧はこのところ外需の好調などから景気の底堅さが増しており、米国の内需拡張は日欧の外需主導の成長パターンをより強固にすることにも貢献しよう。資源価格の安定が新興国の景況感を支えていることもあり、短期的な世界経済の見通しは比較的良好である。もっとも、短期的な見晴らしの良好さは、世界経済の拡大の持続可能性に疑念を生じさせる要因ともなり得る。この点、さしあたり重要なのは、米国における労働需給のひっ迫を可能な限り回避、先送りすること、それにより、賃金インフレ圧力の増大に起因する米国の金融引き締め強化を回避することであろう。米国の内需の失速が、世界経済拡大の持続性にかかわる最大の懸念であることを踏まえれば、トランプ政権が目指すべきは雇用の拡大ではなく、労働供給の拡大、或いはマクロベースの生産性上昇である。司法の壁に直面したトランプ氏が移民政策をどう変えてくるのか、こないのかが注目されるゆえんである。
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