サマリー
◆欧州経済は堅調な成長を続けている。2016年10-12月期の実質GDP成長率はユーロ圏が前期比+0.4%、英国が同+0.6%と発表された。個人消費に加え、久々に輸出が牽引役になったと推測される。輸出の先行指標である鉱工業部門の景況感は2016年半ばから改善傾向にあり、特に最近3カ月は「トランプ効果」で一段と押し上げられている。
◆トランプ効果は短期的に欧州の景気上振れ要因となると予想される。一方、中期的には不透明材料が多い。まず、公約通りに減税、規制緩和、インフラ投資などを実行に移せるか、大統領と議会の関係が注目される。次にそれらの政策がすでに失業率が歴史的な低水準にある米国でインフレ高進を回避しつつ成長率を高めることができるか、米国の利上げペースを速め、成長加速が短命で終わらないかという懸念がある。加えて、トランプ大統領の保護貿易主義的な政策がどこまで遂行されるかも気がかりである。
◆ユーロ圏、英国とも原油価格上昇を主因として消費者物価上昇率が前年比+2%に迫ってきた。エネルギー価格の上昇圧力はここ数カ月がピークと見込まれるが、ECB(欧州中央銀行)、BOE(英中銀)ともより広範囲なインフレをもたらす賃金上昇率の加速が生じないかを注視している。中期的な景気見通しに不透明材料が多く、加えて今年はオランダ、フランス、ドイツの国政選挙が続き、さらに英国が3月末までにEUへの正式な離脱通告を目指している。この状況下でECB、BOEとも金融緩和強化と緩和縮小の双方の選択肢を用意しつつ、しばらくは現行の金融緩和政策を維持する可能性が高いだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
7-9月期ユーロ圏GDP 減速しつつも上振れ
実質GDP成長率は前期比+0.4%と市場予想を上回る
2026年11月02日
-
欧州経済見通し 仏財政不安、長期化の覚悟
国民世論の二極化で、決められない政治が続くリスクが高まる
2026年10月22日
-
欧州経済見通し 足元堅調もリスクは下向き
長引くインフレリスクと強まる金利上昇圧力
2026年09月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

