超高齢社会の住宅と生活基盤を考える

『大和総研調査季報』 2015年夏季号(Vol.19)掲載

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2015年09月01日

サマリー

1964年の東京オリンピック当時と比較して、日本の住宅は量も質も充実した。高齢化ゆえに生産性を引き上げる必要がある中、居住サービスも効率化が進められてきたが、複数階構造や共同住宅の増加は、高齢化と住宅・生活の関係性について、あらためて考える重要性を提示していると思われる。


現在の高齢者の7割は一戸建てに住んでいるが、着実に共同住宅の割合が高まっている。住宅の広さにおいて高齢者は豊かになっているが、特に都市部は、広さや高齢者のための設備が不十分という課題がある。


高齢者の居住環境を見ると、高齢者だけの世帯が大きく増える中、子供の居住場所との時間的な近さや、医療機関、緊急時避難場所などの各種施設と自宅の距離でみて、相対的に都市部は良好であり、地方部に課題がある。


高齢者の各種コミュニティへの参加状況について、実際の参加率は芳しいとは言えないが、健康が維持されれば意欲が低下しているわけではない。コミュニティ活動の活性化はあらゆる世代にとって重要であるところ、高齢者の生活基盤を頑健にするというメリットだけでなく、高齢者自らが能動的にコミュニティを運営する状況が超高齢社会では求められるのではないか。


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