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希望をつないだ新成長戦略(上)

改革メニューは示されたが雇用面で課題

2014年06月27日

経済調査部 主任研究員 溝端 幹雄

サマリー

◆2014年6月に成長戦略の改訂版である「『日本再興戦略』改訂2014」(以下、新成長戦略)が閣議決定された。今回の新成長戦略では、昨年6月の成長戦略では踏み込めなかった岩盤規制と呼ばれる農業や医療において比較的思い切った改革メニューが示され、昨年の成長戦略よりも高く評価できる内容だ。一方で、肝心の雇用・労働市場改革はまだ踏み込み不足の感が強い。


◆雇用・労働市場については、当初、規制改革会議等で議論されていた労働時間規制の三位一体改革が後退している。今後は、実効性のある労働時間規制を組み込んだうえでホワイトカラー・エグゼンプションの議論をしなければ、中途半端な雇用・労働市場改革によって、むしろ問題を悪化させるリスクがある。


◆また、不当解雇時の事後的な金銭解決の結論も、今回の新成長戦略では先送りとなっている。新成長戦略では予見可能性の高い紛争解決システムの構築を図るとされているが、規制改革会議が提言しているように、政府は今後1年以内に結論を出し、不当解雇時の金銭解決導入の早期実現を図るべきだ。


◆これまで政府の成長戦略では、製造業の設備投資を促す政策に偏重しがちであったが、より重要なのはイノベーションを促す人材力の強化である。人的資本の重要性が高まっていることを反映して、例えば自己に対する教育・研修への投資額の税額控除を認めたり、海外の高技能労働者の移民を促したりするといった、人的資本を促進する政策が今後は重要である。


◆今後、具体的な法案作成に至る段階で、厚生労働省の諮問機関であり公労使が参加する労働政策審議会にて細部の詰めが行われるが、そこで改革の内容が骨抜きになるリスクもある。ホワイトカラー・エグゼンプションの適用対象者の制限や労働時間の抑制に向けた取り組みがどこまで具体的な形で示されるのか、今後、我々は労働政策審議会での議論を注意深く監視していく必要があると考える。

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