サマリー
安倍政権の成長戦略は、全体的に民間活力を活かすような経済構造への転換がうたわれているが、よりその効果を高めるには、企業の参入・退出を促す「競争政策」と異質な知識を融合する「多様な人材の活用」が欠かせず、そのために政府は市場規制・制度をより質の高いものへと改革することが必要だ。
例えば、健康確保や人材の多様性にも配慮したルールベースの労働移動の促進や、国際競争に耐え得るインフラも含めた都市機能の強化、医療分野の政府審査機能の強化、トップランナー制度等の技術開発インセンティブの付与、農業における競争的な環境の整備、国際的な競争ルールを重視したTPP等の通商政策への積極的な関与、そして対日直接投資による国内での競争促進と多様な人材・アイデアの流入を通じた国内市場の構造改革等は、経済成長の底上げにつながるものと思われる。
なお、競争で生じた構造変化に対しては、事業者ではなく、消費者への補助金等で対処すべきであろう。消費者に配慮したルールベースの競争政策を重視していくことで、安倍政権の三本目の矢はその効果をより一層発揮できるのではないかと考えられる。

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