サマリー
◆本稿では、政府の成長戦略でも取り上げられている世界銀行の統計(“Doing Business 2014”)を用いて、OECD34カ国とアジア主要4カ国・地域(中国、台湾、香港、シンガポール)との国際比較に基づき、日本のビジネス環境の問題点を明らかにした。
◆現在、日本のビジネス環境ランキングはOECD34カ国中15位であるが、その順位を引き下げている大きな原因は、ランキングを構成する事業設立および納税周りのビジネス環境が非常に悪いことにある。よく知られているように、日本の法人実効税率の高さが問題とされているが、それだけでなく納税や行政手続きの簡素化・オンライン化も他国より著しく遅れており、電子行政の遅れが日本のビジネス環境を国際的に不利な状況にしている。
◆こうした点が、内外企業の新規参入を阻止し既存企業との競争を阻害すると共に、潜在的な新規参入者が持つ新しいアイデアの流入を妨げることで、日本のイノベーションを抑制しているものと思われる。実際、行政手続き面でのビジネス環境が悪いと、開業や所得をはじめとする実体経済に負の影響を与えている可能性がデータから示唆される。
◆規制・制度改革の実効性を高めるには、こうした行政手続き面においてICTの積極的な活用を促し、世界最先端の電子行政の実現等により行政手続きの合理化を進めることでビジネス環境の改善を図ることが重要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本のビジネス環境ランキングを上げるには何をすべきか?
行政手続きの数・時間が3分の1、費用半減で3位は射程圏内に
2016年12月27日
-
日本の成長力はどうなるか
日本経済中期予測(2014年8月)2章、3章
2014年08月13日
-
希望をつないだ新成長戦略(下)
岩盤規制の改革は大きく進展、あとは実効性の担保
2014年06月27日
同じカテゴリの最新レポート
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
2026年5月機械受注
船電除く民需は前月の反動などで大幅に減少
2026年07月15日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
-
中間配当の導入は株価を動かすか
開示直後は好感されるも、効果のインパクトや持続力は弱い
2026年07月17日
-
経済産業省「公正な買収の在り方に関する研究会」による企業買収行動指針のポイント・Q&A(案)
指針の趣旨を明確化~「企業価値」や「望ましい買収」とは?~
2026年07月17日
-
「トランプ口座」始動、未来の株主多数輩出
口座開設、「収益獲得」ではなく「次世代投資家との接点」
2026年07月17日
-
データサイエンスを踏まえた年金数理理論の人的資本分析への発展可能性
新たな退職率算定方法による退職要因分析への応用
2026年07月17日
-
AI時代の競争力を生むのは誰か? ~シリコンバレーとシアトルが示す「人材エコシステム」の力~
2026年07月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

