2012年7-9月期GDP2次速報

実質GDP成長率は1次速報から変化なし

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2012年12月10日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 調査本部 副理事長 兼 専務取締役 調査本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸

サマリー

◆2012年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率▲3.5%(前期比▲0.9%)となり、市場コンセンサス(前期比年率▲3.3%、前期比▲0.8%)をわずかに下回ったものの、1次速報と同様の結果であった。実質GDP成長率(前期比ベース)への寄与度を内外需別に見ると、内需寄与度は▲0.2%ptと、6四半期ぶりのマイナス寄与、外需寄与度は▲0.7%ptと2四半期連続のマイナス寄与となった。今回の結果では、公共投資が下支えとなる中、民需と外需の悪化によるマイナス成長という構図に変化はなく、当社の景気判断に修正を迫るものではなかった。


◆1次速報からの改訂を需要項目別に見ると、設備投資は前期比▲3.0%と1次速報(同▲3.2%)から小幅上方修正となった。基礎統計である法人企業統計の設備投資が、GDP1次速報時点での想定を上回ったことが上方修正の要因。同様に、在庫投資も法人企業統計の結果を受けて上方修正となっている(実質GDP成長率に対する寄与度、1次速報:前期比+0.2%pt→2次速報:同+0.3%pt)。一方で、公的固定資本形成が、基礎統計である建設総合統計の9月分が反映されたことを背景に下方修正されたため(1次速報:前期比+4.0%→2次速報:同+1.5%)、GDP全体では1次速報からはほぼ変わらない形となった。


◆日本経済は海外経済の悪化などを背景に、2012年3月を「山」に景気後退局面入りした可能性が濃厚である。過去の日本経済の回復局面を検証すると、1990年代以降、景気回復のドライバーが「財政・金融政策」から「輸出」へと明確に変化していることが確認できる。今後の景気後退局面でも、海外経済の回復などによる輸出の増加が日本経済底入れの発火点となる可能性が高いだろう。日本経済は、2013年以降、輸出主導で緩やかな回復軌道を辿る公算である。

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