サマリー
◆全国コアCPI、コアコアCPI は緩やかな下落基調:11月の全国コアCPI は前年比▲0.2%となり、コンセンサス通りの結果となった。11月の全国コアCPI季節調整値は前月比で横ばい、3ヶ月移動平均では、6ヶ月連続で下落している。また全国コアコアCPIでみても、緩やかな下落基調にある。
◆需給改善は足踏み:物価が下落基調にある背景には、マクロ需給バランスの緩和が挙げられる。GDPギャップをみると、需給改善が足踏みしている状態にあり、これがラグを伴って、足元の物価の弱さにつながっているとみられる。物価が緩やかな下落基調にある中、注目したいのは特殊要因による一部食品価格の上昇である。震災や商品市況の上昇を背景に、足元の穀物価格が上昇へ転じている。デフレ基調が続く中でも、消費者レベルでは物価下落が実感されにくくなっていると考えられる。
◆今後の見通し:東京都区部等の動きから、12月の全国コアCPIは前年比0.0%程度になると予想している。復興需要の後ズレなどにより、依然デフレ脱却の見通しは不透明である。国内企業物価指数のうち最終財が足元で弱含んでいるほか、日銀短観(12月)の販売価格判断DIでも、「最近」「先行き」において企業は慎重な見方を維持しており、物価は緩やかな下落基調が続く見通しである。主要項目別では、年明け以降、2011年の同時期に上昇していたエネルギー価格の裏が出るため、前年比でみてエネルギー価格による押し上げ幅は縮小するだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日