サマリー
◆ユーロ圏の2024年10-12月期の実質GDP成長率(速報値)は、前期比+0.0%(前期比年率+0.1%)となり、7-9月期(前期比+0.4%、前期比年率+1.6%)から伸びが縮小した。ゼロ近傍の成長にサプライズ感はなく、2024年7-9月期まで成長ペースが加速傾向にあったユーロ圏経済が、2024年終盤にかけて再び失速したことを確認させる結果であった。
◆国別では、成長率が公表された10ヵ国のうち、半数の5ヵ国はプラス成長となる一方、3ヵ国がマイナス成長であった。マイナス成長の国の数は、プラス成長の国よりも少なかったものの、経済規模が大きいドイツ(前期比▲0.2%)、フランス(同▲0.1%)がマイナス成長となり、ユーロ圏全体を下押しした。
◆もっとも、フランスのマイナス成長については、前期のオリンピック効果からの反動が影響した。個人消費を中心に内需の増加は維持されており、過度に悲観すべき内容ではない。需要項目別の詳細がまだ公表されていないドイツについても、ドイツ連邦統計局からは個人消費の増加と輸出の大幅な減少が報告されており、ユーロ圏全体でも個人消費が増加する一方、外需が主な下押し要因になった可能性が高い。
◆ユーロ圏経済の先行きに関して、実質所得増加を背景とした個人消費の増加をメインドライバーに再加速していくという見方に変更はない。また、GDP統計公表と同日に開催されたECB理事会では、4会合連続となる0.25%ptの利下げが決定された。中立金利に向けた利下げサイクルは今後も続く公算が大きく、2025年の景気再加速を後押しする要因になると見込まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日