サマリー
◆2024年7-9月期のユーロ圏のGDPは、前期から加速し想定以上に底堅い結果となった。前期までと同様、サービス業の堅調さが牽引役になったとみられる。一方で、鉱工業生産指数は7-9月期も前期から低下しており、製造業の停滞がユーロ圏経済の足かせとなる状況は続いている。10-12月期に入っても、製造業を取り巻く環境の厳しさに改善は見られず、製造業の悪化が雇用削減などを通じて、これまで堅調さを維持してきたサービス業にも波及するリスクは高まっている。
◆加えて、11月に行われた米国大統領選挙でトランプ前大統領が再選を果たしたことで、先行きの不確実性は一層高まった。とりわけ注意が必要なのは、トランプ氏が掲げる関税引き上げであり、これが実施されれば、米国を最大の輸出先とする欧州経済にとって大きな打撃になることは避けられないとみられる。悪影響が本格的に発現するのは関税の発効後ということになるだろうが、貿易を巡る不透明感によって、関税引き上げが実施される前から投資が手控えられる可能性もある。景気の下振れリスクの高まりに対してはECBの利下げ加速という選択肢が残されていることから、欧州経済が急激に腰折れする可能性は現時点では低いとみられるが、米国の関税を巡る動向には細心の注意を払っていく必要がある。
◆英国では、10月30日に労働党が政権交代後初となる政府予算案を発表した。事前の想定通り、増税が決定されたが、これと同時に大幅な政府支出・公共投資の拡大も盛り込まれており、財政再建よりもむしろ拡張財政色が強い内容となった。財政による押し上げによって、英国では成長ペース加速への期待が高まっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 仏財政不安、長期化の覚悟
国民世論の二極化で、決められない政治が続くリスクが高まる
2026年10月22日
-
欧州経済見通し 足元堅調もリスクは下向き
長引くインフレリスクと強まる金利上昇圧力
2026年09月17日
-
欧州経済見通し 引き続きインフレに警戒
猛暑で高まるインフレ上振れリスク
2026年08月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

