サマリー
◆ユーロ圏の2023年10-12月期のハードデータは総じて冴えない結果となっており、7-9月期にマイナス成長に陥ったユーロ圏経済は、10-12月期もマイナス成長となった可能性が高い。一方、このところマインド統計は総じて改善基調にあることから、マインドの改善が実体経済の回復へとつながる期待が高まっている。
◆しかし、イエメンのフーシ派に対する米英軍による爆撃以降、紅海での地政学リスクが急速に高まっており、欧州経済の持ち直しに水を差す可能性がある。フーシ派による紅海での航行妨害によって世界の物流網には既に大きな影響が出ているが、これが供給制約による生産停滞、インフレ率の再加速を招く恐れがある。
◆今回のレポートでは、通常の経済見通しに加えて、今後10年間(2024年~2033年)の中期経済見通しを改訂した。ユーロ圏経済の今後10年間の経済成長率は平均で+1.2%と予想する。マイナスのGDPギャップを解消する過程にある予測期間前半においては、金融政策が緩和方向となることもあり、潜在成長率を幾分上回る成長が見込まれる。一方、予測期間後半は潜在成長率に沿った成長が続く見通しである。EUが成長戦略として掲げる、グリーン化、デジタル化による生産性の押し上げが期待される一方、生産年齢人口の減少が下押し要因となり、予測期間後半の成長率は緩やかに低下していくと予想する。
◆英国の今後10年間の経済成長率は平均+1.3%と予想する。英国経済の先行きにおいては、ブレクジットが与える影響を引き続き見極めていく必要があろう。とりわけ、ブレクジット以降、英国への対内直接投資は低迷しており、先行きも潜在成長率を押し下げる要因になると見込まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 足元堅調もリスクは下向き
長引くインフレリスクと強まる金利上昇圧力
2026年09月17日
-
欧州経済見通し 引き続きインフレに警戒
猛暑で高まるインフレ上振れリスク
2026年08月25日
-
4-6月期ユーロ圏GDP 原油高でも底堅く成長
実質GDP成長率は前期比+0.4%と市場予想から上振れ
2026年07月31日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

