欧州経済見通し ECBは利上げ停止へ

金融政策の焦点は高金利継続の時間軸へと移行

RSS

2023年09月21日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆ECBは2023年9月14日に行われた理事会で、10会合連続の利上げとなる0.25%の追加利上げを決定した。ただし、声明文には利上げの停止を示唆する内容が盛り込まれ、2022年7月以降続けられてきたECBの利上げサイクルは、9月の利上げを以て停止される可能性が高い。

◆利上げの停止が強く示唆された背景には、ユーロ圏経済の景気減速があると考えられる。9月に公表されたECBによる経済見通しでは、インフレ見通しが軽微に修正された一方、足元を中心に実質GDP成長率の予想が引き下げられた。

◆依然として目標を大きく上回るインフレ率を目標の2%へと回帰させるため、ECBは今後も引き締め的な金融環境を維持する必要がある。ECBは現行の金利水準を据え置くことに強くコミットし、引き締め効果の持続に努めることになるだろう。ラガルド総裁も明言する通り、金融政策の焦点は金利水準から時間軸へと移ることになり、政策変更をしないことが今後のECBの基本スタンスになると見込まれる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート