サマリー
◆ECBは2023年9月14日に行われた理事会で、10会合連続の利上げとなる0.25%の追加利上げを決定した。ただし、声明文には利上げの停止を示唆する内容が盛り込まれ、2022年7月以降続けられてきたECBの利上げサイクルは、9月の利上げを以て停止される可能性が高い。
◆利上げの停止が強く示唆された背景には、ユーロ圏経済の景気減速があると考えられる。9月に公表されたECBによる経済見通しでは、インフレ見通しが軽微に修正された一方、足元を中心に実質GDP成長率の予想が引き下げられた。
◆依然として目標を大きく上回るインフレ率を目標の2%へと回帰させるため、ECBは今後も引き締め的な金融環境を維持する必要がある。ECBは現行の金利水準を据え置くことに強くコミットし、引き締め効果の持続に努めることになるだろう。ラガルド総裁も明言する通り、金融政策の焦点は金利水準から時間軸へと移ることになり、政策変更をしないことが今後のECBの基本スタンスになると見込まれる。
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