サマリー
◆ユーロ圏の実質GDPは4-6月期にプラス成長となったものの、景況感指数は悪化傾向が続いており、ユーロ圏経済は好調とは言い難い。とりわけ鉱工業の景況感の悪化に歯止めが掛からず、国別ではドイツがユーロ圏全体の足を引っ張る構図が続いている。
◆エネルギー価格の低下を主因としたインフレ率の鈍化に加えて、景況感の悪化基調もあって、ECBはこれまでの利上げ継続路線から、経済指標次第へと金融引き締めスタンスを緩めた。もっとも、ユーロ圏では景況感の悪化にもかかわらず労働市場が堅調さを維持しており、サービス価格高止まりへの警戒感は依然として強い中、ECBが利上げの停止を決断するために十分な材料はまだそろっていないとみられる。
◆労働市場が堅調さを維持するユーロ圏とは対照的に、英国では労働市場の悪化が徐々に進みつつある。ただし、インフレ率、賃金上昇率はユーロ圏以上に高い状態が続いており、英国が置かれる状況は一層厳しい。利上げの継続によって労働市場のさらなる悪化が続けば、インフレ沈静化に伴う個人消費の回復も力強さを欠くものになる可能性があり、景気の下振れリスクはユーロ圏よりも大きい。
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