サマリー
◆ユーロ圏の2022年4-6月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比+0.7%(年率換算+2.8%)となり、5四半期連続でプラス成長となった。2021年4-6月期・7-9月期の同2%超からは鈍化しているものの、2022年1-3月期の同+0.5%からは緩やかに加速している。
◆国別に見ると、ユーロ圏GDPの約3割を占めるドイツがゼロ成長にとどまる等、多くの国で成長率が1-3月期から減速した、あるいはマイナスに転じた中で、スペイン、イタリア、フランスというドイツを除く主要3ヵ国が大幅なプラス成長となってユーロ圏全体を牽引した。
◆ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中で、今後の焦点は、2022年4-6月期からどれだけ景気が減速するかであろう。高インフレに供給サイドのボトルネック問題、そしてエネルギー供給への懸念が、企業の生産活動や家計の消費行動に重くのしかかるだろう。さらに、高インフレを抑えるためのECBによる利上げ(金利上昇)という要因も加わった。7月に入ってから、企業の景況感(特に先行き)や消費者マインドは一段と悪化しており、4-6月期までのような積極的な支出は期待しづらい。冬が近づくにつれて、ガス供給のストップという最悪事態に備えて“節約”が一つのキーワードになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 対米通商交渉に一喜一憂
米英合意、米中間の関税引き下げは朗報、EUの交渉は楽観視できず
2025年05月23日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日