サマリー
◆欧州の多くの国で行動制限措置が実施されているが、一部の国では新規感染者の増加ペースが再び加速し、規制内容を強化する動きが広がっている。新型コロナウイルスの第3波を警戒する陰鬱な春を迎え、イースターも引きこもり生活が続く見通しである。
◆各国は、新規感染者の拡大に歯止めをかけ、経済の正常化を急ぐべく、早期のワクチン接種を進めようとしている。だが、供給不足によってスケジュールが遅れ気味である。さらに、3月に入って、ワクチン接種による副反応への懸念からEUの約半数の国が特定のワクチン接種を一時停止した。夏の終わりまでに成人7割の接種完了を掲げるEUの目標達成は難しくなっている。
◆英国は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種競争において、EU諸国よりも大きく先行している。感染抑制の進展により、年初から続く3度目のロックダウンも、約4ヵ月かけての緩やかな段階的な緩和プロセスに移行している。EUと英国の置かれている環境が異なるために、ワクチン調達を巡って両者の関係はぎくしゃくしている。
◆夏のホリデーシーズンを前にして、海外からの観光客を迎えることに積極的な国や観光関連産業は、ワクチン証明など何らかの免罪符の早急な導入を強く主張している。もっとも、ワクチン接種ペースが遅く、新規感染者の増加になかなか歯止めがかからない現状では、人々が自由に行動できる時期はもう少し先になるかもしれない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日