新興国マンスリー(2017年10月)何が世界経済の拡大を終わらせるのか

~米国税制改革が孕むリスク~

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2017年10月04日

  • 児玉 卓
  • 経済調査部 経済調査部長 齋藤 尚登
  • 山崎 加津子
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 増川 智咲
  • 永井 寛之

サマリー

◆世界経済の順調な拡大が続く上での鍵は、先進国における速すぎない成長ペースと低い賃金上昇率・インフレ率の併存が維持されることである。その点、脅威と考えるべきは、FRBの利上げと保有資産圧縮の組み合わせよりも、米国における税制改革案が実現に向かうことである。米国自身の速すぎない成長と低インフレというバランスが崩れるだけではなく、グローバルなカネの流れが変調し、仮に米国景気の拡大が維持されても、新興国の「落ちこぼれ」が増える可能性が高くなる。


◆こうした脅威を乗り越え、2018年に向けて世界経済の緩やかな加速が継続したとき、懸念すべきは、新興国への過大な資本流入と流動性過多に移行する。さし迫ったリスクとは考え難いし、FRBの利上げと保有資産圧縮、ECBのテーパリングと、徐々に緩和度を薄めるグローバルな金融環境が、新興国への過度の資本流入の歯止めになるとも考えられるが、世界経済の好調が持続した際に、それ自体が惹起するリスクとして、新興国におけるバブルの発生と破裂は考慮しておく必要はあろう。

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