政治の力で転換しつつあるフィリピン経済

「工業化の遅れ」という課題は緩和に向かう見込み

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2017年05月25日

サマリー

◆アキノ前政権はインフラ整備や汚職・腐敗対策、財政健全化、教育改革などの分野で功績を残した。アキノ前政権からバトンを受け取ったドゥテルテ現政権は、非常に高い人気や実行力を背景に、インフラ整備や汚職対策などを一層強化しようとしており、一部では既に成果が上がっている。


◆今後はこうした動きを好感した企業、とりわけインフラ整備の恩恵を受けやすい工業企業がフィリピンへの投資を拡大させる見通しである。もう少し長い目で見れば、教育改革を通じてワーカーレベルの人材の底上げが進み、これも企業の投資意欲を刺激すると思われる。


◆こうした動きを受け、フィリピン経済のボトルネックの一つであった「工業化の遅れ」という問題は緩和に向かうと思われる。そして、従来から成長のメインエンジンであった個人消費・サービス産業と設備投資・工業がタッグを組む形で高い経済成長および雇用問題の緩和の実現に貢献すると期待できよう。

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