サマリー
◆米国大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことをきっかけに米国の長期金利が急上昇している。そのため、投資家は期待収益率が上昇した米国の金融資産に投資すべく、新興国から資金を引き揚げる動きを見せている。日本等と同じく、多くの新興国でも米国に呼応した形で長期金利は急上昇しているものの、資金流出に歯止めをかけるには至っていない。
◆2013年に発生したテーパー・タントラムの事例や簡単な計量モデルの結果に基づけば、新興国からは今後半年~1年程度は資本流出圧力が強まる危険性がある。しかし、コモディティ価格の復調や新興国自身の危機耐性の強化、などの状況を勘案すれば、テーパー・タントラム時のような大規模な資本流出は避けられる可能性が高い。
◆もう少し広い視野に立ってみれば、トランプ新政権の保護主義的政策、および金融市場のリスクオフを招きかねない想定外の政策判断も新興国にとって警戒すべき要素であろう。
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