サマリー
リーマン・ショック以降の先進国の金融緩和とともに新興国へと流入したマネーは、足元では逆流しつつある。中国においては景気の減速や、対ドルでの人民元安の進行、本土内の金利の低下等を背景に貸出や現預金を中心として資金流出へと転じている。また、新興国の景気減速や、生産過剰等により原油をはじめとした資源価格が下落してきており、ブラジル、ロシアといった資源国についても海外資本の流入が減少、または流出に転じている。
各国において資金流出および通貨安が進む一方で、これまで懸念されてきたかつてのアジア通貨危機のような事態には至っていない背景としては、外貨準備の水準が高かったことが挙げられる。また資金流出の一部は ドル高に備えた債務返済なども含まれており、必ずしもネガティブな動きとは言い切れない。
しかしながら、今後も資金流出の圧力は続く恐れがあることには留意が必要であろう。今後、中央銀行が資産売却によりこれまで供給されてきたマネーを縮小する際には、これまで以上に新興国からの資金流出圧力が高まる恐れがある。
大和総研リサーチ本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日