サマリー
◆10月10日、11日の米中閣僚級協議では、中国が米国からの農産物輸入を大幅に増やし、為替政策の透明性を高めることなどで部分的な合意に達した。今後は、11月16日~17日にチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)における米中首脳会談で合意文書に署名がなされるか、そして具体的な内容がどうなるかが注目される。注意を要するのは、為替政策であり、仮に為替水準について米中合意がなされると、(追加関税率引き上げなど米国に起因する以外の)何らかの要因で元安が進展する際には、合意遵守(対米配慮)のために中国が元買い介入を行う可能性が出てくる。外貨準備の費消の程度によっては、2015年夏や2016年1月の人民元ショック(チャイナ・ショック)の再燃も懸念されよう。
◆米中摩擦の一段の激化が当面、回避されることになれば、朗報である。米中摩擦問題が「凪」の時に、中国が景気テコ入れ策を本格化することで、底入れ期待は高まろう。大和総研では引き続き、①現在大手行で13.0%の預金準備率のさらなる引き下げ(1%ptの引き下げで1.6兆元程度の貸出増加が可能)、②インフラ投資のさらなる加速、③自動車・家電の補助金支給による購入・買い替え促進など、の実施に期待をしている。
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