サマリー
◆元の対ドル基準レートの決定方法は2015年8月11日に大きく変更され、それ以降、元ドルレートは主要国際通貨の変動の影響を大きく受けるようになった。足元の急速な元安はドルの独歩高によるものであり、当局はドル高に見合いの元安を「容認」しているのである。今のところ大規模な元買いドル売りの為替介入は避けられており、2018年6月と7月の外貨準備は2ヵ月連続で増加した。
◆しかし、今後何らかの要因で中国からの資金流出が大きくなったり、マーケット・レートが大きく元安に振れる(対ドルのマーケット・レートの当日の変動制限は基準レートの±2.0%)など、中国政府が容認し難い元安圧力が高まれば、元買い・ドル売りの為替介入を増やさざるを得ない。それによって外貨準備が急減すれば、元安圧力がさらに高まるという負のスパイラルが発生するリスクは残っている。しかし、巨額の外貨準備を費消してマーケットを力ずくで抑え込むのは避けるべきであり、マーケットの調整機能に多くを委ねることが望まれる。中国は市場の力を重視する一方で、元の過度の変動を抑えるためのセーフティネットを用意している。8月初旬には、中国人民銀行が市中銀行に義務付ける為替フォワード取引の準備金比率を0%から20%に引き上げ、投機的な空売りを抑制した。為替・金融・株式市場の安定化にとって、ここ数ヵ月が正念場となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:消費拡大15次5カ年計画を読み解く
政府は低空飛行の継続を想定か。構造問題への処方箋は書かれず
2026年08月03日
-
中国:政治の季節と景気テコ入れ策の示唆
政治局会議開催。綱紀粛正強化による経済活動の一部委縮懸念
2026年07月31日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

